【医師解説】腹膜播種・がん性腹膜炎の治療選択肢|腹腔内抗がん剤治療(自由診療)の特徴と費用・リスク
がんが進行してお腹の中に飛び散る「腹膜播種(ふくまくはしゅ)」や、それに伴う「がん性腹膜炎」。これまで「もう有効な治療法がない」「ホスピス(緩和ケア)を勧められた」と告げられ、絶望的な思いをされた方も少なくありません。
しかし、近年では腹腔内(お腹の中)へ直接薬剤を届ける「腹腔内抗がん剤治療」という選択肢により、症状の改善や生活の質(QOL)向上を目指せるケースが増加しています。
本記事では、腹膜播種に対する従来の治療法の限界と、当院で行っている腹腔内抗がん剤治療(自由診療)の特徴・費用・リスクについて詳しく解説します。
1. 腹膜播種(がん性腹膜炎)に対する従来の治療とその限界
腹膜播種やがん性腹膜炎が発生すると、腹水の貯留、お腹の張り、腸の動きが抑えられることによる急速な体力低下や食欲不振が引き起こされます。
通常、標準治療として行われるのは全身(静脈)への点滴による抗がん剤治療です。しかし、点滴で投与された薬剤は全身の血液を巡るため、お腹の腹膜組織や腹水内までは十分な濃度で届きにくいという課題(腹膜・血液関門)があります。
また、溜まった腹水を抜く「腹水穿刺」や、腹水をろ過して蛋白を戻す「CART治療(腹水濾過濃縮再静注法)」は症状を一時的に和らげる助けにはなりますが、根本原因である「がん細胞自体の増殖を抑える治療」ではありません。必要なのは、お腹の中のがん細胞へダイレクトに作用するアプローチです。
2. 腹腔内抗がん剤治療(腹腔内ポート)とは
腹腔内抗がん剤治療とは、お腹の中に小さな「腹腔ポート(カテーテル)」を留置し、そこから抗がん剤を直接注入する治療法です。
腹腔内抗がん剤治療の主なメリット
- 少量の薬剤で高い局所効果を期待できる: 閉鎖された腹腔内に直接投与するため、点滴投与に比べて高濃度の抗がん剤をがん細胞に届けることができます。
- 全身の副作用が軽減されやすい: 投与量を抑えられるため、全身投与(点滴)と比較して強い副作用や体力の消耗を抑えやすい傾向があります。
- 標準治療との再連携: 腹腔内治療によって状態が改善・安定することで、一度は諦めざるを得なかった元病院での点滴抗がん剤治療や手術を再開できるケースもあります。
3. 当院での治療実績と適応条件
当院では、腹腔内抗がん剤治療に精通した専門医(田中哲二医師等)や協力施設との連携のもと、積極的に本治療に取り組んでいます。
当院の治療実績
- 2024年開院以来、累計917件の治療実績(2024年:481件/2025年:436件)
- 治療実績の9割以上が腹腔内治療
「高齢であること」や「全身状態の低下」を理由に他院で治療断念を告げられた方であっても、当院では患者様お一人おひとりの状態を慎重に評価し、可能な限り治療適応を検討しています(90代の患者様で劇的な経過を示した症例もございます)。
※効果や治療回数は、がんの種類・病変の広がり・抗がん剤への感受性等により個人差があり、効果を保証するものではありません。
4. 治療の流れ・費用・リスク(概要)
腹腔内抗がん剤治療は全国的にも導入施設が限られており、当院では自費診療(保険適用外)にて対応しております。
治療概要
- 治療方法: 他院にて保険診療にて腹腔ポートを留置後、当院の外来にてポートから抗がん剤を注入します。
- 費用(全額自己負担):
- 初診料:13,200円(税込)
- 腹腔内化学療法(1回):96,000円(税込)
- 胸腔内化学療法(1回):77,000円(税込)
- 治療頻度・期間: 1週間〜10日に1回程度(状態に応じて決定)
- 主なリスク・副作用: アレルギー反応、血圧低下、不整脈、呼吸困難、悪心・嘔吐、食欲低下、便秘、全身倦怠感など
あきらめる前に、まずはご相談ください
腹膜播種やがん性腹膜炎は、一刻も早くお腹の中のがん細胞の勢いを抑えることが大切です。「もう治療法がないと言われた」「できる限りの選択肢を模索したい」とお悩みのご家族・患者様は、ぜひ一度当院へご相談ください。